海外のヘルメット治療に対する考え方(東京 池袋)

海外ではヘルメット治療を推奨しない国もある

斜頭症治療用ヘルメット(一般的にヘルメット治療と言います)は非常に効果的な治療法の一つです。
私も90年代からヘルメット治療の本場であるアメリカでも検証を行い、日本でも多くの症例を見てきました。
その上で、ヘルメット治療の有効性は疑うべきものではないと今までも繰り返し発信してきました。

ですが、世界に目を向けるとヘルメット治療を推奨しない国は少なくありません。
そういった国の一つ、イギリスからの情報を紹介したく思います。

NHS

『Plagiocephaly and brachycephaly (flat head syndrome)』 link : https://www.nhs.uk/conditions/plagiocephaly-brachycephaly/

”But these helmets and headbands generally are not recommended because:
・there is not clear evidence to suggest they work“
「ただし、これらのヘルメットとヘッドバンドは、次の理由から一般的に推奨されません。
・それらが機能することを示唆する明確な証拠はありません」

The Academy of Medical Royal Colleges

『Helmet therapy for treatment of positional plagiocephaly/brachycephaly in children』 link : https://ebi.aomrc.org.uk/interventions/helmet-therapy-for-treatment-of-positional-plagiocephaly-brachycephaly-in-children/

“There are no benefits to the use of helmet therapy.” 「ヘルメット療法の使用にはメリットはありません。」

“Studies have shown that helmet therapy is no more effective than leaving the head to remould naturally as the baby grows. Choosing Wisely UK and Choosing Wisely Canada have both advised against helmet therapy as an intervention for positional plagiocephaly and brachycephaly.“
「研究では、ヘルメット療法は、赤ちゃんの成長に合わせて頭が自然に再形成されるのを待つのと同等の効果しかないことが示されています。Choosing Wisely UK とChoosing Wisely Canada はどちらも、位置性斜頭症と短頭症の治療法としてヘルメット療法を推奨していません。」

両方とも記事がアップされたのは比較的新しく2022年のもので、そこからアップデートされていない事から現在もこの考えが支持されている事になります。

最初に引用したNHSはNational Health Service (イギリスの国民保険サービス)の略で、税金で賄われる公的医療サービスの事です。
様々な医療を受ける際に患者に一つの指針を示すことで客観的な判断ができるように基準を設定しています。
高度生殖医療を受ける際に鍼治療は意味がないと判断している事で日本の東洋医学界から耳目を集めたこともあります。

次に引用したThe Academy of Medical Royal Collegesは、イギリスとアイルランドの 24 の王立医科大学および学部の調整機関です。
様々な基準を設定する事で、患者が安全で適切な治療を受けられるように働きかけている機関です。

その両機関がヘルメット治療を推奨しないというのです。
文中に出てきた”Choosing Wisely”というのは医療側と患者側が適切なevidenceを基に、患者にとって本当に必要で、かつ害の少ない医療行為を「賢明な選択」ができるようにしていこうとするキャンペーン活動の事で、イギリスとカナダではヘルメット治療を推奨しないとしています。

私個人としては今まで書いてきた通り“ヘルメット治療は非常に優れた治療法”と考えていますが、この様なヘルメット治療に対してネガティブな考えはイギリスだけではありません。
こういった考えが出される理由の一つに「ヘルメット治療は万能ではない」と正しく発信しない面があるからです。
これについては「斜頭症等に用いるヘルメット治療に関する考察」について詳細を紹介しておりますのでそちらをご参照ください。
こういった事を医療側が患者サイドに正しく説明し、また患者サイドが十分に理解していればヘルメット治療は第三者的視点から見ても優れた治療法と言えるでしょう。
ただ、残念ながら一部の事業者はこういった苦手とする面を公表する事なく患者にヘルメットを使用させるので問題が表面化してしまいます。
・思ったほど良くならなかった
・かえって悪化した
・良くなったけど再変形した
こういった問題を起こさないためにも医療側・患者サイド双方を取り巻く環境がより良くなる事を願います。

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