整体院による斜頭症矯正は違法行為で危険です

最近、整体院による被害が多数寄せられる様になってきました。

「全然良くならなかった」くらいであればまだマシな方で「頭の形がより酷くなった」「適切な治療を受ける機会を失ってしまった」「怪我をしてしまった」などその被害は多岐にわたります。
整体院で行う頭蓋変形の施術は違法行為です。
その理由を少し長いですが書かせて頂きます。

第十二条 何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。
(「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」より)

あんまマッサージ指圧師の仕事について

あんまマッサージ指圧師(以下、マッサージ師)というとただマッサージ術をするだけの仕事の様に思われます。
ですが実際は皆さまが思っている以上に多くの事を行っています。
厚生労働省の「職業情報提供サイト Job tag」を見てみますと……

「体の痛みやこりなどの症状を訴える人たちに対して、主に手や指などを用いて押し・揉み・叩きなど力学的な刺激を身体に与える指圧・マッサージにより身体のこりをほぐし血行を良くしたり、脊椎のゆがみを矯正することにより、症状の緩和・改善、体力回復、健康増進を図る。
施術所では、身体の不具合、異常の部位などを聞き、施術の内容と料金を決め、依頼者の身体のツボを中心に揉み、撫で、叩き、また押さえたり、震動を与えたりしてこりをほぐし、血行を良くする。依頼者の住居や宿泊先に出かけて施術することもある。
また、医師の処方にしたがい、患者のリハビリ治療を行ったり、企業内で「ヘルスキーパー」として従業員の健康管理、労災予防、作業能率向上を目的に施術にあたる場合もある。そのほか、高齢者施設等での健康管理や、スポーツ施設で運動後の疲労除去のために施術するなど、活動の場は多様である。」

マッサージ師の項目を見てみると一般的なイメージ通りのマッサージ術はもちろんですが、いわゆる整体師が行っている事も本来はマッサージ師の仕事であり、また理学療法士が行っているリハビリ治療すらマッサージ師の仕事である事が分かります。
ですが、様々な仕事ができるからこそ整体師らに大きな勘違いを引き起こしてしまいます。
どういった事かというと、
「整体師はマッサージをしても良い」
「理学療法士は医師の指導がなくてもマッサージが行える」
などといった真実とは真逆の事が行われる事になったのです。

link : https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/172#

マッサージ術とは

マッサージ術とは、
「徒手により、あん摩、マッサージ、指圧の各手技(なでる・押す・揉む・叩くあらゆる行為)を用いて、機械的刺激を生体に加え、生体の変調を調整し、疾病の治療や保健の目的を果たす施術」です。
(令和3年11月26日 厚生労働省労働政策審議会 労働条件分科会労災保険部会より)

マッサージの効果は、
「矯正作用 …… マッサージ施術により加えられた力により、身体の形態的および機能的な異常を正常な状態に戻そうとするものです。」
(マッサージ師養成施設で使用する教科書「基礎保健理療Ⅱ(保健理療理論)」より抜粋)

当然、緩やかに触れる・圧迫する・さする・ふるわせる・揺らす・引っ張るなどの「機械的刺激」もしくは「力学的な刺激」もマッサージ術となります。
「べびきゅあ」ではこの「矯正作用」を利用して頭蓋変形の施術を行っており、日本でこの「矯正作用」が認められている施術は「マッサージ術」だけとなっています。
そもそも赤ちゃんに頭に触れて何かをしようと考えるならマッサージ師の国家資格を所持している事が最低限求められます。

時折、「当整体院の斜頭症施術はマッサージではない」といった旨の事をホームページに書いている整体院があります。
「頭の形をまるくする」とか「頭の歪みを整える」などの様に脱法を意識した表現を好んでしていますが、頭の形を変えていこうとするなら当然にマッサージ術の「矯正作用」を利用する事になり、頭に触れて何か起こなう時点で「マッサージではない」という言葉は否定されます。

医業類似行為とは

医業類似行為というものがあります。

「医業類似行為」とは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある「医行為」ではないが、一定の資格を有する者が行わなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為であると解しており、それには、あん摩、マッサージ及び指圧、はり、きゅう並びに柔道整復のほか、これら以外の手技、温熱等による療術行為であって人体に危害を及ぼすおそれのあるものが含まれると考えている」

というのが厚生労働省の正式回答です。 (第198回国会(常会)答弁書 答弁書第六二号 内閣参質一九八第六二号 令和元年五月三十一日)

分かりやすく書くなら、
医業類似行為には
・法に定めのある医業類似行為……マッサージ師、鍼灸師、柔道整復師(後述します)
・法に定めのない医業類似行為……いわゆる整体、カイロプラクティック、オステオパシーなど
の2種類があり、法に定めのない医業類似行為は「人体に危害を及ぼすおそれのある」危険な行為という事になります。

法に定めのない医業類似行為

それでは「法に定めのない医業類似行為」はどういった扱いを受けるのでしょうか? 法的には「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」というものがあり、そこにはこう書かれています。

第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
第十二条 何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。

これらによって「法に定めのない医業類似行為」、いわゆる整体やカイロプラクティック、オステオパシーなどは国会答弁から分かる様に「人体に危害を及ぼすおそれのある」行為なので「業としてはならない」と法律でしっかりと定められています。
それなので整体師は脱法行為を正当化しようとするために「当院は頭の形の調整なので問題ありません」「頭の形の矯正ではありません」「当院の施術はマッサージではありません」と良く書いていますが、問題点はそこではなく彼らはそもそも「業としてならない」のです。

理学療法士や助産師による整体について

斜頭症の整体を行う人たちの中で無資格は当然ながら施術自体が違法となり処罰の対象になりますが、それでは柔道整復師、理学療法士、助産師などはどうなのでしょうか?

法律の中で「医業類似行為」について理学療法士や助産師について言及がないのは彼らが行える業務は医師の指導が必須であり、「法に定めのある医業類似行為」を行う者とは考えられていなからです。
ですから法的には、理学療法士と助産師が斜頭症の施術を行う場合は「法に定めのない医業類似行為」に該当し、その場合は「人体に危害を及ぼすおそれがあるもの」となります。

ただし理学療法士に関しては「医師の指示の下」で「診療の補助」であれば理学療法を行なうことができるのですが、(理学療法士及び作業療法士法第2条第3項及び第15条第1項)、
「医師の指導の下で病院内で行う」以外で行っている整体などに関しては、「自分は理学療法士だ」と言えないばかりかマッサージ師法違反となります。
(同法第2条第3項及び第15条第2項)

柔道整復師による整体マッサージについて

それでは柔道整復師による斜頭症の施術についてはどうなのでしょうか。

柔道整復師の業務範囲及び医業類似行為について(昭和32年9月18日 医発799)こう書かれています。

「柔道整復師が医者又は患者の要請求により、柔道整復の治療を完了して単にあん摩(指圧及 びマッサージを含む)のみの治療を必要とする患者に対し、その行為のみを行うことは法第1条の規定に違反する」

これは接骨院を開院している/していないに関わらず、柔道整復師という資格を所持しているのならばマッサージ行為のみを行う事は違法行為であるという意味です。
また(令和2年11月16日 労働政策審議会 労働条件分科会労災保険部会)によれば、

「最近は骨盤矯正や脊椎矯正、頭痛や冷え性、単なるマッサージなどを行う接骨院や整骨院がありますが、これらは柔道整復師の業務範囲ではありません。」

とあります。
よく「接骨院ではなく整体院だから柔道整復師法の範疇外だ」と言う人がいますが、上記から分かる様に柔道整復師の資格を所持しているからこそ無資格の整体師以上に、整体と称して「?矯正」とか業務範囲外の症状の緩和、そしてマッサージ施術を行ってはいけないのです。
念の為もう一度書きますが、目的は何にせよ赤ちゃんの頭に触れて何かを行うのなら「マッサージ師」の資格が必要で、柔道整復師の業務である急性外傷の応急手当て以外を行おうとするならその施術は「法に定めのない医業類似行為」に該当し、及び違法マッサージ術という事になります。

なぜ整体師が放置されているのか

ひとえに保健所と警察署の怠慢です。
あえて理由を挙げるとしたらマッサージ術について厚生労働省の回答が関与しています。
「施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行うなど、あん摩マッサージ指圧師が行わなければ、人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為については、同条のあん摩マッサージ指圧に該当するので、無資格者がこれを業として行っている場合には、厳正な対応を行うようお願いする。」
(医政医発第1118001号 平成15年11月18日)

「痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行うなど」という文言が整体師たちの言い訳の根拠になってしまい、保健所が放置する事につながりました。
ですが、良くお読みください。
この文章の最後に「など」が加えられています。この「など」は何が含まれるのでしょうか。

頭蓋変形に対する施術を考えてみます。
整体師がいう「軽く触れる程度だから」とか「今まで事故はありません」という言葉は「痛みを感じるほどの相当程度の強さ」には該当しないのでしょうか。
整体師はどんなに弱い力で行っていると言ったとしても「赤ちゃんの頭の形を変えてしまうほどの力」を加えるわけです。
どんなに弱い力であろうが形を変えるほどの力を赤ちゃんに加えるのですから、「人体に危害を及ぼし、又は及ぼす恐れのある行為」と判断される事になり、当然、法に定めるあん摩マッサージ指圧の施術に該当します。
それなので整体師(柔道整復師や理学療法士、助産師などの資格保持者も含む)は斜頭症などの頭蓋変形の施術を行とした場合、危険を伴うのでマッサージ師法違反となるのです。

結論として、整体師が行う頭蓋変形(斜頭症や長頭症、短頭症、絶壁など)矯正は明確に「業としてはならない」と違法行為となります。

斜頭症などの施術を考えている方は
「マッサージ師の資格を持っていますか?」
と必ず聞く様にしましょう。
これを読んでもあなたは整体院で斜頭症などの矯正を受けたいと思いますか?

※ ここに書かれている内容は厚生労働省医政局医事課、日本理学療法士協会、日本助産師会、日本柔道整復師会並びに日本あん摩マッサージ指圧師会などに2022年以降に問い合わせを行った内容をもとに書かせていただいております。書いてある内容に問題等ありましたらお知らせください。内容を確認した上で修正もしくは削除を行います。

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